ひと味違う、水染めの透明感 コードバン & リンピッドカーフ
幾重にも色を重ねて染めていく「水染め」
コードバンは、馬の尻の部分の皮を何ヶ月もの時間をかけて鞣した、とても貴重な革です。そもそもコードバンは、馬革臀部(でんぶ)の皮全部が「コードバン」に加工されてできているわけではありません。正確には馬臀部表皮の下にある「コードバン層」と呼ばれる厚さわずか1~2ミリ弱の緻密な繊維層のある部分を指してコードバンというのが正しい見識です。
この「コードバン層」を露出させるために、革の床面(裏側)から少しずつ削りだしていくという大変手間のかかる工程を経て作られた革が「コードバン」。厚さが1〜2ミリ弱の層を削り出すのですから、作業は非常に熟練した職人の腕が要求されます。こうして削り出した「コードバン層」は、繊維が非常に緻密であるため、牛革の2倍の強靭さを備えていると言われています。
もうひとつコードバンの特徴として有名なのは、ツヤのある光沢です。これは革の表面をガラスや瑪瑙の石で磨く「グレージング」という工程によるもの。一枚一枚丁寧に磨き上げて仕上げられたコードバンは「革の宝石」にも例えられる美しさを誇ります。
このグレージングが終わると染料を入れる工程に入りますが、染色工程や薬品などは一切企業秘密。というのも、この透き通るような美しいアニリン染めの技術こそが、コードバンの仕上げ加工をする”フィニッシャー”最大の特徴であり、企業価値だからです。
中でも水染めは非常に時間と手間がかかる染色方法で、幾重にも色を重ねて染めていく方法。水染めにより生まれる独特のツヤと透明感、奥行きを感じさせる色合いは他と一線を画します。長年にわたり、日本国内でコードバンを手掛けるメーカーによる水染めコードバンの品質は確かです。
イタリア鞣しのリンピッドカーフ
商品の内側に使用しているのはイタリアで鞣されたアニリン仕上げのリンピッドカーフ。アニリン仕上げとは革に合成染料と主にタンパク系の結合剤成分からなる塗料を染み込ませて色をつける仕上げ方法のことです。
顔料仕上げと異なり、革の表面のキズや血管の跡などを隠さない仕上げのため、革の質感や個性はそのままに透明感のあるツヤが出るのが特徴です。
透明感のある染色仕上げであるアニリン仕上げの革は、原皮のコンディション=仕上がりであり、原皮段階でキズの少ない高品質の革といえます。